施設の中の人間関係

施設に入る老人は、その施設の中で、
様々な人間関係を作っていく。
どれだけ、前向きに人間関係を作っていくかで
施設の生活の楽しさも変わる。


施設に10年以上いる人と話をしていたら、
前の席にいる人を見つめ
「あの人ね、前はスカートはいて
 1日2回も私の部屋に遊びに来てね、
 色々話していったんだよ・・・。
 でもね、ちょっとづつ、駄目になって
 行っちゃってね・・・・。
 今は、ああして、ご飯も誰かに食べさせて
 貰わなきゃならなくなって、
 誰が誰かもわからないんだ・・・・・」
と寂しそうに言った・・・。


そのおばあさんは、
うちの学校の生徒の名前など
過去に来た人間をみんな覚えている
超人的な記憶力のおばあちゃんで

「老人は記銘力が落ちる」

とかいう法則の当てはまらない人なのです。


なんでも、覚えている事が出来るというのは
素晴らしい反面、辛い現実も見なきゃならない・・・。


そのおばあちゃんは、きっと何人もの
友人が弱っていき、ある日家族が棺を引き取りに
来るのもみているんだろうなぁと・・・。


そして、あのおばあちゃんのことだから、
絶対、全員の命日を記憶しているんじゃないかと思う。
なんてったって、職員の誕生日を全部覚えているらしいですから・・・。
命日なんて、きっとお手のものです。
多分、あのおばあちゃんより、
私の記憶力の方が悪い自信があります。