さて、残りの防衛機制です。
残りは「分離(孤立化)」と
「取り消し」「合理化」「抑圧」
「昇華」です。


「分離(孤立化)」
これは、感情と自分を切り離して
しまうものです。
自分に起きた出来事があまりに大きく
自分の感覚から切り離さないと耐えられない
ような場合、このような反応が起こります。


たとえば、レイプされた女性が
警察に事情を聞かれたとき、
泣くこともなく、淡々とまるで
他人事のように話すのがこの状態です。



「取り消し」
打消しとも言われます。
これは、最初の不安や罪悪感を
取り消そうとするものです。


たとえば、弟を叩いたおにいちゃんが
その直後に弟をとても可愛がるなどと
いう行動がこれです。
いわゆる罪滅ぼしみたいなものに
似ています。


「合理化」
これは、自分の考えや行動を正当化するために、
社会的に許容され、しかも自分の良心に
反しない行動を取るための「言い訳」をする
心の働きです。
この合理化は、二次過程思考が出来ないと、
この防衛機制そのものが成り立たないという
意味で、高度な防衛機制といえます。


「抑圧」
これは、臭いものには蓋をするという
心の動きです。フロイトが最初に見つけた
防衛機制でもあります。
「抑制」というものに似てますが、
抑制は、意識的、意図的に思い出すまい
とするのですが、抑圧は、無意識的に
無意識の世界に閉じ込めている
という点が違います。


抑圧では、本人はその苦痛、不快な体験が
存在しないかのように振舞いますが、
無意識の世界でその感情は存在していて、
決してなくなってはいないので、
本人は気が付かなくても日常のちょっとした
動作などにそれが現れます。


「昇華」
これは、最高の防衛機制といわれています。
この昇華で不満を解消すると、社会的にも
評価され、本人も成長します。


この昇華は、イドを超自我の要請に応じて
社会的にみとめられる型に変えています。
「置き換え」となんとなく似てますが、
置き換えと違うのは、昇華の場合、
置き換えられた対象や方法が
社会的・文化的に、より価値の高いもの、
創造的なものである点に特徴があります。



ってことで、前回の精神看護学の授業は
これで終了です。