精神看護の授業の場合、
必ず歴史から入ります。
これは、小児看護や成人看護
などでは決してありえないことです。


精神科の病気というのは、
ここ15年ぐらいで、
ようやく「病気」として
扱われるようになったと言っても
言い過ぎじゃありません。


法律だってまともになったのは、
ほんの10数年前です。
福祉の時代、って偉そうに行政が
言うようになって、ようやく
まともな扱いになったということは、
それ以前の扱いが、
いかにひどいかということは、
想像に難くありません。



が、私はここで、その歴史について
熱く語る気はなく、ここで語りたいのは
クレペリンのことです。
(歴史は、機会があったら、語ります。)


このクレペリンって人は
1900年代前半に活躍したドイツの
精神医学者であり、今の精神医学の
診断基準の原型を作った人です。


この人の何がすごいって
分類がすごいです。
彼の診断基準は100年たった
現在もほとんど変更されること無く
使われていて、いかに完璧な分類を
していたかって事に、私は感動・・・・。


彼は、早発性痴呆(今で言う統合失調症)と
躁鬱狂(今で言う気分障害)について研究を
していたんです。
で、彼は、発生の原因から予後までをあらわした
「疾患単位説」なる概念を確立して、
疾病分類の土台を作ったんですよ。


彼は、生物学的な立場、この場合、脳に
原因があって病気になっているという立場に
たって、研究をしていたそうです。


このクレペリンと比較されるのが
有名な「フトイト」です。
彼は、心理的な立場、つまり、病気は人の心の問題から
出ていると考える立場で、研究をした人です。


神経症についての研究では、精神分析療法など
間違いなく素晴らしい業績を残しています。


しかし、彼の失敗は、精神病の研究の際、
脳の問題を無視して、心理的なものだけで
解決しようとしたことにあるようです。
彼は、なんとか自己の正しさを証明
したくて、分析した内容に
こじつけ的な解釈を加えてしまい、
晩年は、相手にされなくなってしまったようです。


現在、精神病に関する世界共通の概念としては、
「精神病は心理的なものだけでは起こりえない病である」
ということだそうです。