血と涙

体に傷か付けば、血がでますが、
心に傷が付けば、涙がでますと、
一昔前の青春ドラマのような
セリフですが、本日は、心の傷に
ついて、さらりと語ろうかと・・・。


さてさて、心の傷って何だろう?



多分、心に傷のない人間はいないでしょうが、
でも、心の傷って何?って聞かれて
答えられる人もなかなか少ないかと思います。


先生いわく、心の傷とは、




「全ての説明や慰めが終わった後に残るもの」




だそうです。つまり、


もうこれ以上説明出来ない、
慰められないから「傷」として残るわけです。



だから、心の傷に説明を求めたり、
心の傷の意味を他人が説明することほど
ナンセンスなことは無いわけです。



心の傷は、もう説明しようが無いわけですが、
感情によって味わうことは出来ます。


感情に寄り添って聴くことで、
その人の傷の痛みを他者も味わう事が
出来ます。


これは、どういうことかというと
ものすごーく簡単っていうか、
誤解を恐れずに言うと、
本や映画を見て、主人公に感情移入して
切なくなったりするのに、似てます。


感情移入と感情に寄り添うのは、実は
全然違うんですが、まぁ、でも、
誰にでも分かるようにイメージしやすくすると
そんな感じです。


普段、人は傷を隠します。


体に傷があったら、包帯を巻いたり
絆創膏を貼るように、心の傷にも
同じようにします。


体の傷は治っているかどうかを確認するために、
定期的に傷口を確認します。
そして、その傷の治癒は誰が見ても分かるし、
「よしよし、治ってる、よかった」
といえます。


ところが、心の傷は、体の傷と違って、
傷を確認して治っている事が確認
できません。そして、誰が見ても治ったと
いえるものではありません。
もっと言うと、傷ついた本人され、
治ったのかどうかわからないのかも知れません。



心の傷の場合、その傷そのものが治るか
というより、傷を覆っている絆創膏や包帯を
外して、傷を眺められるようになる事が、
ひとつの回復になります。


傷が治ったかどうかは誰にも分からないけど、
絆創膏を外しているかどうかは、少なくとも
本人は絶対に分かるわけです。


傷は消えてない。
でもその傷を見ようと
絆創膏を外すには、ある程度の心が
回復していなければ出来ません。



だから、心の場合、体の傷のように、
全く分からなくなる事が「治癒」ではなく、
「傷はあってもいい」という思いに至れる事が、
長い治癒過程の中の、ひとつの回復なのです。